雑草対策に疲れていませんか? 防草と除草、2つのアプローチで きれいな庭を手に入れよう

雑草対策に疲れていませんか? 防草と除草、2つのアプローチで きれいな庭を手に入れよう

土のあるところに雑草あり……。抜いても抜いても生えてくる雑草との攻防は好きな庭仕事を辛いものにしてしまいます。この闘いを終わらせたいのであれば、早めに対策を見直す必要があります。そこで提案したいのが、防草と除草の2つのアプローチによる基本的な雑草対策です。今回はそれぞれの特徴を整理して、あらためて正しい使い方とともに紹介します。

[雑草予防には防草シートがおすすめ]

一般的に雑草と呼ばれる種類はどれもたくましい植物ばかり。「空気」「水」「光」の3つの要素がそろっていれば、土壌が悪い厳しい環境であっても発芽して成長します。屋外で空気と水を断つことができない以上、残された防草の手段は光を遮断することです。 
防草の方法としては、コンクリートで舗装する、固まる土で舗装する、グランドカバーとなる植物を植えるなどいくつかの対策がありますが、今回紹介するのはDIYで施工しやすくメンテナンスの手間もあまりかからないのが防草シートを敷く方法です。
 
【防草シートのメリット】
・施工費用を低く抑えられる。
・DIYで簡単に施工できる。
・ていねいに施工すれば防草効果が長続きする。
・簡単に撤去できる。
 
【防草シートのデメリット】
・劣化したときに敷き替えが必要になる。
・正しく施工しないと防草効果が小さくなる。

[防草シートの敷き方]

[用意するもの]
・高密度防草シート
・キワ押さえプレート
・押さえ付きコの字ピン
・高密度防草シート用テープ
・ゴムハンマー
・ガーデン万能ハサミ

・草削り
・草取り
・レーキ
・テミ
・ネット回収袋
・メジャー

1.雑草を取り除く

防草シートを敷く庭に雑草が生えている場合は、これらを取り除く作業からスタートします。除草作業は事前準備の最も大切なポイントです。雑草が残っていると少しのすき間から生えてくる可能性があるので、徹底的に行いましょう。


施工面積が広い庭の除草作業には、草の地上部を削り取るタイプの草削りが便利。立って作業できる長柄のものがおすすめです。


草削りを使って雑草を地面の際から削り取ります。
建物や塀の際は、防草シートとの間にすき間ができて光が漏れる可能性があり、雑草が生えやすいところです。草取りなどを使って、根っこごと雑草を除去しましょう。


削り取った草をレーキなどでかき集めます。集めた草はネット状の回収袋に入れて土をよくふるい落としてから、自治体のルールに従って処分します。

2.整地する

レーキなどを使って、地面のデコボコがなくなるように平らにならします。このとき大きい石も取り除いておきましょう。地面をよく踏み固めます。大きく沈んでしまうところがあれば、土を足して平らにしておきましょう。


整地が完了。この地面を固める作業(転圧)がしっかりできていないと、シートを敷いた後のたるみにつながってしまいます。体重が軽いかたは、強度のあるブロックなどを使いながら丁寧におこないましょう。

3.防草シートを敷く

建物や塀との際はシートの端は、「キワ押さえプレート」を使ってシートがめくれないように対策します。


防草シートの端を立ち上げておき、折り曲げた「キワ押さえプレート」にピンを打ち込んでシートを固定します。


防草シートをきれいに広げたら、「押さえ付きコの字ピン」を打って固定していきます。塀際は地下に基礎コンクリートが入っている可能性があるので、深く打ち込めない場合は場所を内側にずらしてください。


大まかにピンを打って動かないように固定できたら、1m間隔を目安にピンを追加して打っておきます。

4.2枚目以降の防草シートを敷く

防草シートはシートに引いてあるラインを目安に5〜10cmほど重なるように敷きます。シート間にすき間があると光が差し込むので、必ず重ね代を設けてください。


防草シートが重なっているところに「押さえ付きコの字ピン」を打って、2枚のシートを一緒に固定します。


防草シートのつなぎ、切り込み、ほつれなどの部分は、「防草シート用テープ」で補強しておくと安心です。耐久性が高く、防草シートと同等の耐用年数があるので、屋外で安心して使うことができます。


植木の足元なども、きちんと防草シートを敷き込んでおきたいところです。


防草シートの端から植物の位置までハサミで切り込みを入れ、すき間ができないように植物を挟んでからテープで補強しておきましょう。


防草シートの施工が完了しました! このままでは景観が悪いので、化粧砂利やバークチップ、人工芝などを上に敷いて、防草シートを隠すように仕上げることをおすすめします。

除草剤を上手に使いこなそう


もっともシンプルで確実な除草の方法は、手や道具を使って雑草を除去する草取りです。ただ、庭が広かったり、体力が落ちていたりすると、草取りを続けるのは簡単ではありません。草取りでは除去するのが大変な雑草対策には、除草剤をうまく利用するとよいでしょう。除草剤には、これから生えてくる雑草を抑える防草の効果があるもの、生えている雑草を素早く枯れさせる効果があるものなど、異なるタイプが用意されています。雑草の状態や場所に合わせてこれらを使い分ければ、少ない散布回数で雑草をなくすことができます。まずは除草剤の基本的な知識を身につけましょう。

【除草剤のメリット】
・費用があまりかからない。
・草取りに比べて労力がかからない。
・草の種類や用途によって使い分けができる。
・入手と実施が簡単。
 
【除草剤のデメリット】
・他の植物の近くでは注意して使う必要がある。
・近隣住民や水路、井戸などに気をつける必要がある。
・散布するタイミングや種類、濃度が適当でないと効果が小さい。

除草剤の使い方

 除草剤にはたくさんの種類があります。ここでは大まかに粒剤タイプと液体タイプにわけて解説しますが、購入時には必ず各製品の効果や適用植物、用法を確認して、用途に適したものを選びましょう。
 除草剤は薬剤であるため法律で使用方法が規定され、「農耕地用除草剤」と「非農耕地用除草剤」に分類されています。「農耕地用除草剤」は畑や田んぼ、果樹園などの農作地とその周辺で使用できる除草剤です。一方の「非農耕地用除草剤」は農作地での使用が禁止されています。市民菜園や庭の菜園で使用した場合も法律違反となるので、分類を確認し、使用方法を守るように注意しましょう。

粒剤タイプの特徴と使い方

粒剤タイプの多くは、「土壌処理型」に分類される除草剤です。このタイプは地面にまくと土の表面に薬剤の層を作り、それが根から吸収されて雑草を枯らすように作用します。薬剤の層が残っている間は効果が持続し、数か月間に渡って新しい雑草が生えてくるのを抑えます。
すでに成長した雑草には効果が薄いので、まだ雑草が生えていない土地、草を刈り取った後の土地にまくのが一般的な使い方です。
 
 ■散布できる場所
駐車場、空き地、枯らしたくない樹木の根が届かない場所。
※雨で薬剤が流出する恐れがある隣家との境界近く、排水溝の近くなどでは使用しないこと。
 ■散布の適期
春の雑草が発芽する前の3月ごろ、秋の雑草が発芽する前の9月ごろに散布すると、雑草を効果的に抑えることができます。雑草の草丈が高くなってしまったときは、草刈りをしてからまくようにしましょう。
 ■散布に適した条件
適度に地面が湿っていると土に成分が吸収されて効果を発揮しやすいので、雨上がりのタイミングか水まきをしたあとに散布するのが最適です。散布する当日や翌日に雨が降ると薬剤が流出しやすいので、雨降りの可能性が高い場合は散布するのを避けましょう。
 ■散布するときのポイント
パッケージに記載された使用量を守ること。少ないと十分な効果を得られず、多すぎると薬害が出る可能性があるので注意してください。また、除草剤の密度が偏らないように、除草したいエリアにムラなく散布するようにしましょう。

液体タイプの特徴と使い方
液体タイプの多くは「茎葉処理型」に分類される除草剤です。このタイプは雑草の茎や葉から吸収されて作用します。特徴は成長した雑草を数日で枯らしてしまう即効性の高さです。一方で、地面に落ちると効果がなくなるため、新しい雑草が生えてくるのを抑えるような持続性はありません。
土壌への影響が残らないため、樹木の近くで使えるほか、除草後の土地に植物を植えることができるなどのメリットがあります。
 
 ■散布できる場所
樹木の近くを含む花壇などの植栽エリアを除いた場所。ただし、周辺に農作地がある場合は、「農耕地用」のタイプを使いましょう。
 ■散布の適期
雑草の生育期。ただし、成長しすぎた雑草への効果は低下するので、草丈30cm程度までに散布しましょう。
 ■散布に適した条件
風のない天気のよい日が最も散布に適しています。散布当日に雨が降ると薬剤が流れ落ちて効果が発揮できない可能性があります。天気予報を確認して実施するタイミングを決めましょう。
 ■散布するときのポイント
成分を吸収する茎や葉にかかるように散布します。その際、栽培中の草花や野菜に薬剤がかからないように注意しましょう。

<ストレートタイプの散布方法>

希釈済みなので、使用前に水で薄める必要がなく、そのまま使える手軽なタイプです。小面積やピンポイントでの散布に向いています。シャワーノズルがついているタイプが多く、容器から直接散布することができます。

<原液タイプの散布方法>

希釈して使用するため、多くの散布液を作ることができて経済的です。広い面積への散布に適しています。ジョウロに必要量の水を入れ、対象となる雑草の種類に適した濃度になるように計量した除草剤を加えます。

まとめ
生えてきた雑草を取り除く後追いの対策ばかりしていては疲れるばかりです。これを雑草が生えないようにする予防策に切り替えれば、手間を大幅に減らすことができます。防草シートや除草剤は正しく使うと高い予防効果を発揮します。庭仕事をこれからもっと楽しむためにも、この2つの方法を取り入れるなど雑草対策を見直してみてはいかがでしょうか。